中国華中の世界遺産について〜世界遺産へ旅立つ前に

中国華中の世界遺産〜世界遺産旅行ガイド
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上海の風景
 こちらでは中国華中地方の世界遺産を紹介していきたいと思います。中華人民共和国中部、特に東側には有名な港湾都市もあり、経済的に発展した地域が多く存在しています。ちなみに厳密な定義による狭義での華中というのは、長江(揚子江)と黄河に挟まれた地域を示すのですが、こちらでは東部を含めたおおよそ真ん中あたりの地域全体を漠然と指し示す意味で用いています。(現在の地理区分では東北・華北・西北・中南・西南・華東
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 こちらでは中国華中地方の世界遺産を紹介していきたいと思います。中華人民共和国中部、特に東側には有名な港湾都市もあり、経済的に発展した地域が多く存在しています。ちなみに厳密な定義による狭義での華中というのは、長江(揚子江)と黄河に挟まれた地域を示すのですが、こちらでは東部を含めたおおよそ真ん中あたりの地域全体を漠然と指し示す意味で用いています。(現在の地理区分では東北・華北・西北・中南・西南・華東という6大区分が一般的であり、華中・華南・江南といった名称はあまり使われなくなってきているのが実情です)それでは、個別の世界遺産を確認していくのに先立って、中国華中の地理・歴史に関する情報を簡単にまとめていきましょう。東アジアで最も長い歴史を誇る中国。その世界遺産を味わう上で、基礎的な知識は必須です。


◎中国華中の地理

上述のとおり、華中という行政区分自体は存在しませんので、ここでは仮に華東・中南の2地域を「おおよそ中部の地域」としてご紹介したいと思います。特に華東は上海を含むことでも知られ、経済的な中心地域の一つといえるでしょう。


A.華東地方


1.山東省

 省都は済南で、他に泰安や青島といった有名な都市が存在しています。
 東北部には山東半島が存在し、朝鮮半島の付け根にある中国東北地方の遼東半島と対になる格好です。人口の99.3%を漢民族が占めており、それに次ぐのが0.6%のウイグル(回族)になっています。古くから漢民族の地域として根付いているのが山東省の特徴といえそうですね。
 この山東省は別名を魯と呼ばれており、これは周の時代から春秋・戦国時代にかけて山東省にあたる地域を治めていた国:魯の国号に由来したもの。かの高名な儒学の祖である孔子が表した書物『春秋』は「魯の年代記」であり、そういった側面からも小国であったわりに知名度の高い国だったといえるでしょう。
 歴史的にも多くの著名人を輩出した山東省。孔子以外にも、春秋時代に名を馳せた五人の英雄である「春秋の五覇」の一角――斉の桓公、孔子に次ぐ知名度を誇る儒学者――孟子、蜀漢の丞相であり三国志最高の知将として今も尊敬を集める至高の軍師――諸葛亮(諸葛孔明)、六朝時代の書家として名を残す文化人――王羲之など、そうそうたる面々が名を連ねています。ちなみに偉人かどうかは評価の分かれるところですが、プロレタリアート文化大革命の中心的な指導者である江青(毛沢東の妻)も山東省出身。悪評も多い人物ですが、ある一時に国家を動かした人物であり、高い影響力を有していたことは疑いようもありません。


2.江蘇省

 省都は南京で、他には揚州・蘇州などの都市が比較的知名度のある地名として知られています。
 江蘇省を語る上で外せないのは、やはり南京市でしょう。古くは三国志演義で有名な三国時代に、呉の都:建業として栄えていたことで知られている歴史的な大都市ですから。後の時代にも洪武帝によって明が建国された際、金陵という名前で現在の南京に都が設置されました。最近では中華民国時代にも南京が首都に定められており、北京と並んで中国における政治の中心として発展してきた経緯があるわけです。
 ちなみに中華民国政府は現在、台湾政府として実質的には国家としての自治運営を行っているわけですが、つい最近までは「あくまでも南京が首都である」という旨の主張をして「台北は本土を共産党によって不正に奪われたことに起因して避難先の首都して用いているだけだ」との公式見解だったんです。本土と台湾の関係には根深い政治的問題が絡んでおり、国に関する話をする時に「国と地域」という言い方で注釈がつけられるのも、基本的には台湾を中華人民共和国領土であると強硬に主張する中国共産党への配慮。こういったことに思いを馳せると、南京というのは極東アジアの政治的歴史的な諸問題における焦点のような土地になっているように感じられます。


3.安徽省

 省都は合肥で、他にやや知名度の高い都市としては淮南や淮北が挙がるでしょうか。
 この安徽省内には長江と淮河がともに流れており、省の中央部には湖が存在。水辺の多い地理的環境といえそうです。
 ちなみに、もともとは安州・徽州という2つの行政区画が存在していた地域で、清の時代にこれらが統合されるような形で安徽という地名が生まれたようです。


4.浙江省

 省都は杭州で、他の著名な都市としては寧波や温州が知られています。ちなみに中国には「コウシュウ」という地名が多いことが有名。頻繁に出てくる有名な場所だけでも杭州以外に広州と江州があります。そこで、我々日本人は杭州を「クイのコウシュウ」とか江州を「ミズのコウシュウ」などと呼び分けることもありますね。
 ちなみに浙江省は中国国内でも特に先進的な地域の1つで、インターネット網の発達度が国内1位となっているんです。(といっても、日本はどこの都道府県でもネットが使えるので特に「わぁ、すごい!」とはなりませんが……)


5.江西省

 省都は南昌です。
 江西省内の瑞金は、毛沢東が共産主義革命を起こす際に初期の拠点となったことで知られています。この瑞金を拠点として中華ソヴィエト共和国を組織し、国民党からの攻撃激化を受けて長征を行い、延安へと移動していきました。


6.福建省

 省都は福州で、他の著名な都市としては廈門が挙げられるでしょう。
 海を挟んで台湾に面しており、中華人民共和国が福建省の一部であると定義している島の一部は実際には台湾政府に統治されています。
 ウーロン茶に使う茶葉の産地として有名で、日本で最もポピュラーな、いわゆる「サントリーの烏龍茶」の缶やボトルにも「福建省」という表記がありますね。


7.上海市

 直轄市であり、省には属していません。
 世界でも有数の大都市で、首都:北京に大きく水を開けて中国最大の経済規模を誇っています。


B.中南地方


1.河南省

 省都は鄭州で、他の有名な都市としては許昌、開封、洛陽、安陽が比較的よく知られているかと思います。
 許昌は三国時代の要地として有名な場所で、乱世の奸雄――曹操の勢力圏でした。後漢の末期には完全に曹家の傀儡と化していた献帝を許昌に移し、洛陽から遷都。一時的な都として扱われた時期もありました。曹操の息子である曹丕によって漢王朝が滅び、魏が建国されると都は再び洛陽となりましたが、許昌が重要拠点であることに変化はありませんでした。
 開封は運河の合流地点として物流の中心地だったことから、北宋の都として栄えたことが有名です。開封の繁栄を描いた清明上河図が非常に価値のある歴史的な絵画として知られています。
 次いで洛陽ですが、こちらは言わずと知れた歴史的な都市ですね。古くは東周の時代に洛邑として都の役目を果たし、後漢の時代にも都が置かれた、中国史上で最も名の知れた地名の一つといえるでしょう。
 最後に安陽ですが、ここには長らく中国最古の王朝と考えられていた殷王朝の遺跡である殷墟が存在します。(現在では夏王朝の存在が確認されており、殷は最古でないことが分かっています。未だに日本の世界史教科書は書き換わっていませんが、近いうちに夏王朝の存在が明記されることになるはずです)最古の文字の1つと言われる甲骨文字が出土したことなどから、非常に有名な遺跡といえます。
 このように、河南省には中国史にとって大きな意味をもつ古代都市が多く存在しておいます。中国の歴史に強い興味を持っている人にとっては、中国全土でも最も興味を惹かれる地域といえるかもしれません。


2.湖北省

 省都は武漢で、省内に少数民族であるミャオ族・トウチャ族の自治区域を含んでいることが知られています。
 かつて武漢の一部は武昌と呼ばれており、ここから清朝打破と中華民国建国へと繋がる辛亥革命が最初に蜂起した場所としても有名です。


3.湖南省

 省都は長沙で、こちらも省内にミャオ族・トウチャ族の自治区域が存在します。
 湖南省出身の著名人としては、国共内戦に勝利して共産主義革命を実現した政治的指導者である毛沢東が最初に挙げられるでしょう。他にも、中国共産党初期に指導的地位を占めた後に、毛沢東と衝突したことなどから文化大革命で失脚、最終的には幽閉された挙げ句に衰弱死させられるに至った劉少奇・共産党政権内で親日派として知られ、対日外交に功績があったにも関わらず失脚させられた胡耀邦なども湖南省出身者です。


4.広東省

 省都は広州で、他にも経済特区に指定されている深圳市などが有名です。
 内部に三箇所の経済特区を有しており、他と比べて非常に富裕層の多い地域として知られています。貿易額が高く、外貨を獲得しやすい地域であることも一因でしょう。


5.海南省

 省都は海口で、海南島を中心とする島嶼部だけで成り立っている省です。
 漢民族は人口の8割程度で、15%以上を占めるリー族の他、ミャオ族やチワン族も居住している地域であるため、内部に多くの少数民族自治県を含んでいます。
 中国のハワイなどという別称もあり、主要産業はリゾート。東南アジアに面しているため、ヴェトナムなど複数の国との間で領土問題を孕んでいる島が複数存在します。


6.広西チワン族自治区

 チワン族・ヤオ族などの少数民族が合計1721万人ほど居住している地域で、首府(自治区の首都にあたるもの)は南寧です。


 以上、中国華東・中南地域の地理・歴史に関するエピソードでした。次ページからは個別の世界遺産に関する情報をご紹介したいと思います。



※当ページで使用している画像はwikipediaからの引用です。
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